そして、何故か口に手を当てながら、可笑しそうに笑いだした陽生
『え…』
驚いた私は思わず目をパチクリさせた
何?
『ちょ、ちょっと陽生!?』
『はは、ダメだ…止まんねぇ』
『え?』
『俺、お金のことで注意されたのなんて生まれて初めて…』
『は?』
『はは、果歩…お前、面白すぎ…』
何がそんなに面白いのか、肩を震わせながらけらけら笑う陽生
そんな陽生を前に、私は呆気にとられてしまった
…ちょっと?
突然、何?
さっきまであんなに重かった空気が一気に軽くなり、拍子抜けしてしまう
いったい急にどうしちゃったって言うの?
さっきからなんか変じゃない??
『…ちょっと陽生、大丈夫?』
そんな陽生を見つめながら、少し顔を歪めたその時
笑いをこらえた陽生が突然顔を上げ、不意に私を見つめてきた
『本当…お前はいいよ…』
『へ?』
その瞬間陽生の顔が真剣な眼差しに変わって
私は陽生の腕にぎゅっと抱きすくめられた



