それが分かるから、悔しい
本当にたちが悪い
正直、あの旅行から、何となくだけど前より私と陽生との距離が縮まった気がする
もちろん、いい方向で
こういうの、なんて言うんだろう?
うまく言葉にできないし、形があるわけじゃないから、何て言ったら分からないんだけれど
言葉では簡単に言い表せない、何か温かいものが私と陽生の間に生まれ始めてるのかもしれない
陽生もたぶん、それを感じとってると思う
お互い、それをあえて口に出したりすることはもちろんないけれど、何となく分かる
陽生のことだから、私の気持ちの変化に薄々は気づいてるのかもしれない
だから今みたいに、陽生は私を試すような言い方をしてくるのかも
もしそうだとしたら、やっぱりなんか悔しい
いつの間にか陽生の思惑通りに、まんまとはまってしまったみたいで
やっぱりどう頑張っても、陽生の方が一枚も二枚も上手なのかもしれない…
『隙あり♪』
『きゃっ!』
突然目の前が暗くなったと思ったら、私の身にまとっていた衣服が、首からするりと床に脱げ落ちた
!?
気づいた時には肌にひんやりとした空気を感じ、いつの間にか私は、またソファーの上に倒されていた
『まだまだ甘いなあ、果歩は♪』
『えっ』
『隙ありすぎだから、俺から簡単に逃げられると思うなよ』
『な!?』
陽生は目を見開いて驚く私に再び覆いかぶさると、悪戯な笑みを向けた
『ひゃっ!?ちょ、どこさわって……』
陽生の指が、下着姿になった私の首筋から鎖骨に滑りなぞるように降りてきて、体にビクンと電流がはしる
『そろそろ消えかかってきたし、しるし付けないとな』
『えっ』
『俺のしるし…』
その言葉と共に、陽生の唇が胸の辺りをチクンと刺激した
『…っ……』
そして、何度もそれを繰り返した後
今度は私の唇が迷うことなく私の唇をふさぎ、優しく刺激し始めた



