甘い体温



『まあ…でも、果歩がどうしても脱ぎたくないって言うんなら、しょうがないな
別に脱がなくてもやれないことはないし…

今日はそっちの方向でいくか?』


『へ?』



そっちの方向って…


どっちの方向よ!?


そう思いつつも、陽生の言葉の意味にすぐに理解した私は、思わず顔が引きつってしまった


何でいつもいつも、気づいたらこんな展開に……?


しかも旅行から帰ってきてから、陽生の変態振りがさらにパワーアップしてるように思えるのは、私の気のせい?



……!?



そうこう考えてるうちに、いつの間にかまた唇をふさがれ、服の隙間から陽生の手がすかさず入り込んできたのに気づく


『んっ…!?』


お腹と背中を滑るようになぞられて、思わず体に緊張がはしる


そして、身にまとっているニッとワンピースを、すかさずグイッとめくり上げられそうになったその時、思いっきり陽生の手を掴んだ


『…ちょ、ちょっと、待って!?』


陽生からのキスを交わした私は、陽生に訴えかけるように声を上げた


『……何?』


そんな私に動きを止めた陽生が、顔を上げ、少し不機嫌そうに私を見つめてくる


『いや、何って……』


けれど陽生があまりに真っ直ぐ、真剣な顔をして見つめてくるから、言葉がどもってしまう


『あ、あの、陽生ご飯は?…ま、まだ食べてないでしょ?』


なるべく今の状況から話題を逸らそうと、試みるものの


『…ああ、それなら食べるよ、今から果歩を』


『う……』


呆気なく、交わされてしまった


『果歩?もういい?俺、お腹すいてんだけど?』


だったら私じゃなくてちゃんとご飯を食べて下さい!!


って言葉にしたくても、じりじりと迫ってくる陽生の胸を押し返すことが精一杯で、言葉が出ない