甘い体温



『え…なに?』


体を私の方へ少し傾け、無言のまま私をじっと見つめてくる陽生に思わず動揺してしまう


視線を逸らそうと思っても、陽生の瞳が真っ直ぐ私の瞳を捕らえてくるから、金縛りにあったみたいに体が動かない


けれど陽生はそんな私にかまうことなく、綺麗な切れ長の瞳で真っ直ぐ私を見つめたまま、何かを考えてるように、そらそうとしない



『…陽生……?』



思わず体中に緊張が走って、鼓動が激しくなる


見透かされてるような、そんな視線が堪え切れなくなり、何とか声を出したその時


ずっと無言だった陽生が、おもむろに口を開いた



『やけに素直だな』


『…へ?』



突然放たれた言葉に、声が上擦ってしまった


え…素直って?


陽生の言葉に、頭の中で?マークが浮かぶ


けれど陽生はそんな私の顔を覗き込みながら、器用に片肘をソファーにつくと、さらに言葉を続けた



『最近やけに素直だな〜と思って』


『…え?…それってどういう…意味?』



首を傾げる私に、陽生は表情を崩し、柔らかな笑みを向けた


『ん〜、素直つーかなんつーか、とげとげした感じがなくなって、前より円くなったっていうか…そうだなぁ……』



そこまで言うと陽生の手が私の頬に触れ、こめかみからすくうように髪をなでた



『なんか雰囲気が優しくなった』


『えっ』


『最近のお前、すごくいい顔してる』


『……』



その言葉に、私は思わず言葉を失った