甘い体温


『本当か?』


『ほ、本当に本当に…』


それでも私の言葉に疑いの眼差しで見つめてくる陽生を、私はしっかりと見つめ返した


『本当に大丈夫だから……』


そして念押しで、もう一度はっきりと言い切ると、陽生に安心してもらう意味を込めて笑顔を向けた


だって、まさか、今までずっと陽生のことを考えてましたなんて


そんなこと、口が裂けても言える訳がない…


するとそんな私を見て、納得したのか陽生はふっと息を吐くと、ようやく顔を崩した


『ふ~ん、そっか…ならいいけど』


陽生はそう言いながら、私の頭にぽんと軽く手を乗せる


そんな陽生を見て、私もほっと肩を撫で下ろしたら


『まあ、でも、何か困った事があれば遠慮なく何でも言えよ』


『えっ』


『いつも言ってると思うけど、一人で溜め込むのは体に良くないから…』


「俺には何でも話せよ」と最後にそう付け加えると、陽生は私の頭をあやすように撫でて、優しく微笑んだ


………。


その瞬間、再び私の心臓がドクンと飛び跳ねるのを感じて


コクンと頷く振りをして、とっさに陽生から視線を逸らした


顔か一気に熱を帯びるのが分かる



やばいな…



こんな事でいちいち反応してちゃ、体が持たないじゃん


あんなにうさんくさいと思っていた陽生の笑顔に、今はありえないほどドキドキさせられてるなんて…


少し前の私からは、これっぽっちも想像できなかったこと


正直そんな自分が怖くもある