甘い体温


『な~んだ、もうすっかりラブラブなんじゃん、心配して損しちゃった』


後藤は私の様子を見て、ご馳走様~と言いだげな表情を一瞬浮かべて、またソファーに体を投げ出してしまった


その後の後藤は特に何も私に聞こうとはせず、手にした本をパラパラとめくっている


そんな後藤の横顔を見つめながら、私は少し苦笑いを浮かべるしかなくて…



……ラブラブねえ



後藤に言われた言葉に、思わず反応してしまった


私と陽生が、ラブラブ?


それこそ私には似合わない言葉だと、肩をすくめた


それに実際、私が陽生のことが好きだと気づいたといっても、別にただそれだけで


私の気持ちを陽生に伝えた訳じゃない


だから陽生は私の気持ちを知らないし、2人の関係が今までと何か変わったということでもないのが今の現状


『……』


正直それが今の私の悩みだったりする


やっぱり、ちゃんと陽生に気持ちを伝えたほうがいいの…かな?


そうするべきなの?


最近そんなことばかりが私の頭を悩ませる


でもどうやって?


これまで散々、あんな態度をとっておいて、今さらいったいどんな顔して陽生に伝えればいいのやら…


考えただけで頭が痛い


でも、だからと言ってこのまま何もしなければ、今のこの状況は一向に変わらないわけで、前には進まない


それにもし、私が陽生に気持ちを伝えたとして…私は陽生とどうなりたいんだろう?


私はどうしたいの?


それすらも今の私には考えても答えが出てこない始末で


生まれて初めて感じるこの感情に、まだ自分の気持ちがちゃんと追いつけれてない


本当、世間一般の人達は、いったいどんなふうに自分の気持ちを整理してるんだろう?



誰か、分かりやすく教えて欲しい…