甘い体温



『はは、三月さんって本当に可愛いよね〜』


『……』


『なんかある意味純粋っていうか、素直っていうかさ』


『……』


『椎名先生が惚れちゃうのも分かるな〜』



何故か楽しそうに一人勝手にケラケラ笑い出す後藤


私はそんな後藤を思わず無言で睨みつけた


…この女


これって、バカにされてんの私?


なんかすごーくやな感じなんですけど…


『でも本当、今の三月さん、いい顔してるよ』


『え?』


『なんか幸せそう』


『は?幸せって…』


『なんか私も嬉しい』


『えっ…』


『私まで嬉しくなっちゃう』


『……』


後藤は平然とそんなことを言ってのけると、とても穏やかで無邪気な眼差しを私に向けた


『……』



う…



何よ


文句の一言でも言ってやろうと思ってたのに


そんな顔されちゃあ、何も言えなくなるじゃない


調子狂うなぁ…もう


やっぱ、やな感じ…


私は後藤からあからさまに顔を背けると、またソファーに深くもたれこんで足を組んだ


…でも……


だけど、不思議とこいつのこういう所憎めないんだよね…


なんでだろ?


ふとそんなことを思いながら顔を緩めたその時、後藤が再び私の顔を覗き込んできた