甘い体温


この手で、陽生を体いっぱいに感じたくて


私は両手で陽生の頬を挟み、何度も角度を変えて口付けた


口付けて…口付けて…


それでも足りなくてまた口付ける


その繰り返し


その間、壊れ物を扱うように、陽生の手が私の後頭部を撫で回し、その感触に何度も目頭が熱くなって、息苦しさが増す


自然と乱れ始める吐息は、私の気持ちをさらに加速させていくに十分で…


ようやく唇が離れた時には、2人分の乱れた呼吸が、私の耳を掠めた


唇が触れるか触れない至近距離で、お互い1ミリも顔を逸らすことなく見つめ合い


陽生の手が私のこめかみを優しく撫であやすように私に触れる


陽生の透き通った瞳に見つめられて、見つめ返して


お互い微笑み合った


もう目の前の陽生以外何も見れなくて、感じられなくて…



『果歩…』



そして、低く甘い声で陽生に名前を呼ばれたのを合図に


私達は引き寄せられるように再び唇を重ね合わせた



『…んっ……』


陽生に後頭部を強く引き寄せられてキスが激しさを増す


私もそれに応えるように、陽生の首に腕を回し陽生を求めた


もっと、もっとと、私の心が陽生を求める


陽生も同じように私を求めてくれるのが、熱い唇から伝わってくる



――…もう止まれなくて、止めたくなくて



私達は何度も何度も口付けながら、そのまま一緒に床に倒れこんだ