もう…自分を押さえようとか、怖いとか、迷いは私の中に片隅にもなかった
ただ、陽生に触れたい
それだけが私の心を突き動かしていた
陽生はそんな私の全てを受け入れてくれるかのように、何も言わず、私の背中に腕を回し、抱きしめ返してくれた
優しく、包み込むように
窓の外を眺めながら、私の頭をあやすように優しく撫でてくれる陽生の手
その手があまりにも気持ちよくて、温かくて
鼻の奥がつーんと熱くなった
『果歩の髪、さらさらで気持ちいいな』
私の髪を指ですくいながら、耳元で低く囁かれて、体の体温がさらに熱を帯びる
もう体の全部が心臓になってしまったんじゃないかと思うほど、激しさを増す私の鼓動
苦しくて、苦しくて…どしようもなくて
陽生を抱きしめる腕の力を、私はさらに強めた
それに応えてくれるように、陽生の腕の力も強くなる
それが嬉しくて、心地よくて、切なくてたまらなかった
もう気持ちが溢れそうで……
『はる…』
気づいたら私は、陽生の唇に自分の唇を重ね合わせていた



