甘い体温


――今何考えてるの?


私は心の中で陽生に問いかけながら、真っ直ぐ陽生を見つめた


その瞳の奥で、何を見てる?


何を思ってるの?


そんなことが私の頭の中で波立てながら渦を巻いていた


自分以外の誰かの気持ちを知りたいなんて、生まれて初めての気持ち


私の心が落ちつきをなくし、ざわつき始める


まただ


胸の奥が、自分の意思とは関係無しに締め付けられる


私はいつの間にか毛布をぎゅっと握り締めていた


そんな時、不意に窓からこぼれる夜の光が陽生の姿を照らしはじめて、幻想的に陽生を包み込んだ


伏せ目がちの陽生の表情に光が混ざり合い、何とも言えない光景に目を奪われて…



『…綺麗……』



気づいたら私は、ポツリとそう呟いていた


するとその声に気づいた陽生が、ようやく私の方へと視線を向けた


『お、やっと起きたか』


ビールの缶を床に置いた陽生が、私に微笑んだ


『あと、少しで年があけるぞ、てか、せっかく新しい新年の瞬間を果歩と迎えようと思ってたのに…お前寝てるし…

ったく…ムードもかけらも無い奴だな』


『……』


そう言って意地悪そうに笑う陽生の顔には、もうさっきまでの寂しそうな表情は微塵もなかった


『まぁ…お前らしていっちゃあ、お前らしいけどな』


陽生は目を細めて笑うと、手を伸ばし、私の頬をそっと撫でた


………。


その瞬間、陽生の温かな手の感触と共に私の鼓動が”ドクン”とまた一気に波打った