甘い体温


それに、すごいのは料理だけではない


このお店自体も、オシャレで可愛い


私と陽生が案内された部屋は、窓際にテーブルと二人掛けのソファーが置いてあって


目の前は全面ガラス張り


だから、食事をしながら外の景色が贅沢に楽しめるようになっていて


坂の上に建てられたこのレストランからは、神戸の町並みが一望できた


それに、2人掛けのソファーが1つあるだけだから、向かい合わせじゃなく、隣り合わせに座る、これはカップルには最高のシチュエーションだと思う


しいて言うなら、今が夜だったら神戸の夜景が楽しめてきっとまた違うんだろうなと、それが少し気にもなった





『果歩もピザ食う?』


そんな事を考えてたら、隣の陽生が私の口元にピザを差し出して、少し戸惑いながらもそれを素直に一口食べた


ピザを口に含んだ時に、ピザに載っていた照り焼きチキンのソースが口元についてしまい、ナプキンでぬぐおうとしたら


それをすかさず、陽生が平然と親指でぬぐい、ソースのついた指をペロッと舐める



『うまいな』



ソースを舐め取ると、目を細めながら私に微笑みかけてくる陽生に、思わず驚く


その行動が、あまりに自然で色っぽくて……


落ち着かなくなった私は、陽生から視線を逸らした



…たぶん今の私顔が赤いと思う



いや、確実に赤い


今日の陽生は、いつもに増して態度が甘いような気がする


これって、私の気のせい?


そのせいかどうか、実を言うと今日の朝から私はずっと変


何気ない陽生の仕草にやたらドキドキしてる私がいて、落ち着かない


今だってそう、ありえないくらい、私の心臓バクバクしてる


今いる状況がいつもと違うシチュエーションだから?


それとも陽生の態度が、やたら甘いせいなのか?


考えても正しい理由なんて浮かんでこなかった


恥ずかしさで陽生の顔がまともに見れないなんて、どうかしてる…私