甘い体温


『おいしい……』


私は思わず歓喜の声をもらし、また一口、パスタを口の中に運ぶ


なにこれ?


冗談抜きで本気で美味しい


やばい、これは今まで食べてきたカルボナーラなんか、比べものにならないかも…


『気に入ってくれた?』


隣の陽生が嬉しそうに問いかけてきたので、私は素直にコクンと頷いた


『そ、ならよかった』


私の表情を見た陽生が、不意に安堵の笑みを浮かべた


『あいつ、ああ見えて料理の腕前だけは、一流並みなんだよな』


改めて関心するように呟いた陽生


確かに


あんな性格で、こんなに美味しいものが作れるなんて、はっきり言って想像つかない


こう言っちゃあ悪いけど、なんか気だるそうに作ってるイメージしかわかないし


あくまで私の勝手な想像なんだけどさ


だけど、陽生いわく亮は料理に対して、一切妥協を許さないらしい


料理に対する情熱は人一倍強いらしくて、本場のイタリアで3年前までずっと修業してたんだって


見かけによらず、本当はすごい人なのかもしれない


あの性格を除いては…


陽生も私と同様、亮に対して私と同じようなことをため息混じりに言っていたので、少し笑えた