甘い体温


二人の変な空気に挟まれて落ち着かなくなりそわそわする私


なんか気まずいんですけど…


すると、そんな気まずい空気を変えるように、亮が突然口を開いた



『…なんちゃってな』



え?



亮は何食わぬ顔でポツリ呟くと、穏やかな表情に戻っていて


『相変わらず冗談の通じねー奴』


陽生に向かって意地悪く言うと、ニヤッと口の端を上げた


『…お前もな』


陽生もまたポツリ呟くと、亮に向かって柔らかな表情を返した



は?…何?



冗談なの?


何なのよ、それ…


私の心配をよそに、2人の間の空気が、あっさりとさっきのように穏やかに戻っていて


私は思わず、拍子抜けしてしまった



もう、人騒がせな…



少しムッとしつつ、けれどほっとして、思わずため息が出そうになったのもつかの間


私の背中に回していた陽生の腕の力が、突然強くなった



『ま、でも、お前が例え本気で欲しいって言ってきても、意地でもやるつもりはねーけどな』


『え?』



当然のように陽生はそう言ってのけると、亮の目の前で私の体をさらに強く抱き寄せた



『ちょっ!?』



わざと見せ付けるように抱き寄せて、私の頭を優しく撫でる陽生


今居る場所が個室だからとはいえ、ここはあくまでもお店の中で、さすがにまずいでしょ!


ビックリして、押し返そうとするものの、それ以上の力で押さえ込まれてしまい、どうすることもできない

もう、私はドギマギする気持ちを隠すように俯くことしかできなくて……


すると、そんな私達を見ていた亮からフッと笑い声が聞えてきた