甘い体温


『なんだよ、ひで~な、陽生は…
それが久しぶりに会った親友に対する態度かよ…』


そんな私達の様子に、苦笑いを浮かべる亮


『そんなの知るか、お前こそその態度を改めろ』


『はいはい、わーったよ、たくっ…

まぁでも、こんなとこでずっと立ち話って訳にもいかないし
お前の席、言われた通りに用意してあるから、とりあえず中へどうぞお客様』


さっきのチャラチャラした雰囲気から一変して、営業スマイルに切り替わった亮が、馴れた様子で私達を中へ招き入れた


…そして……




『ようこそ神戸まで』




えっ?


改めて私に柔らかい笑みを向けた亮の言葉に思わず驚いた



え?神戸!?








『ちょと、陽生?』


私は席に着くなり、陽生に問いただしていた


『なんだよ、陽生…お前果歩ちゃんに何にも話してなかったのかよ』


そんな私達の光景を見て、亮が陽生に呆れた表情を向けていて


『ああ、これから話そうかと思ってたんだよ』


そう言うと、少しばつが悪そうに、陽生は私に視線を向けた


陽生いわく、私からパスタが食べたいという私の要望を聞いた時に、すぐこのお店に決めてたらしい


亮の腕前を知ってる陽生にとって、ここ以外はありえなかったんだとか




このイタリアンレストランがオープンしたのは、約2年前


陽生もここに来るのは今日が初めてみたいで


仕事でなかなか顔を出せなかったのもあって、この機会に私を連れて食べに行こうと思ってたみたい


ったっく…それならそーと、何もわざわざ隠さなくても最初からちゃんと説明してくれてたら


私もこんなに困惑しなくてすんだのに…