甘い体温


『いらっしゃいませお待ちしておりました』


『……』



車が着いた先で耳にした、本日2度目のその言葉に、私はまたまた唖然として立ちつくす…


…何なのいったい?


ここで私達を笑顔で出迎えたのは、少しウエーブのかかった明るいブラウンの髪の、今時の若いイケメン


若いって言っても、見る限り、陽生とそんなに歳は変わらなそうに見えるけど…


それに今度は店の中に入るなり、美味しそうな匂いが私の鼻を不意にかすめた


そんな状況に、私の手を握る陽生の手を、困惑しながらグイット引っ張ろうとしたら



『よう、陽生、久しぶりだな』



私達を出迎えたイケメン店員が、陽生に向かって嬉しそうに声をかけた



『おう、亮、久しぶり』



それに嬉しそうに答える陽生


『えっ?』


突然の会話にビックリした私は、思わず陽生とイケメン店員の顔を交互に見つめた


何?知り合い?


『陽生、お前…ちょっと見ない間にまたいい男になったんじゃないか?』


『は?何だよそれ……
てか、お前は昔とあんまり変わりねーな』


『はは、そうか?
こう見えて、これでも一応前よりは真面目な人間になったつもりだけど』


『へ~それはそれは』


『てかそれよりも、そろそろそこの可愛いお嬢さんを、俺にも紹介してくんねえ?』


イケメン店員がニヤッと笑いながら私の方に視線を向けてきたから


ばっちり目が合い、思わずドキッとした