甘い体温


『はっ?』


再びビックリした私に陽生は笑顔を向けると、またすぐに前に向き直っておじさんと話し出してしまった



今日から泊まるって…ここに?!


ここに泊まるの??



驚いてもう一度陽生に聞こうとしたら、私より先におじさんが話し出したので、言うタイミングを逃してしまう



『すぐにお部屋に行かれますか?』


『いや、今からすぐにまた出かけるから、荷物だけ部屋に運んでおいてくれればいいよ
、荷物は車に積んであるから』


『そうですか、かしこまりました
では運転手付きで、お車のほうを用意させましょうか?』


『いや、それもいいから
自分の車で出かけるから荷物だけ取り出したら、また入り口の方まで車つけといて』


『はい、かしこまりました』



おじさんは陽生に笑顔を向けると、今度は何やら耳に付けているインカムで支持をし始めた


私はそんな陽生とおじさんのやり取りを、ぼう然と見つめることしかできなくて…





そして再び車に移動した私達


陽生は助手席のドアを開けて先に私を乗せ、自分も車に乗り込むと、すぐに車を発進させた


ホテルを出るときに背中越しから聞こえた「気おつけて行ってらっしゃいませ」という、おじさんのダンディーな声が何故だかしばらくの間、私の耳から離れなかった