それでもなんとか声を出した私は、陽生の手を払うと咄嗟に視線を逸らした
なんだろうこの感じ
なんかこの男といるとやけに調子が狂う
思わず身構える自分に気づく
そう思った瞬間、私の頭にポンっと触れた陽生の手
『そんな事よりお腹すかないか?
俺、かなり減ったんだけど…
此処のレストランでも行く?
それとも部屋まで適当に持ってきてもらって食べる?』
陽生はフッと顔を崩しながら私に問いかける
『あ…うん…』
でも私は何故か曖昧にしか答えられなくて
『あ、うんってどっちだよ…』
そんな私にすかさずつっこみを入れながら笑う陽生
その笑顔に何故か私はどっと体の力が抜けていくのを感じ
『ここでいい…』
そう答えていた
なんか今日はもう動く気になれなくて、此処から出たくなかった
『了解』
陽生は私の返事を聞くとすぐ、部屋に備え付けられている電話に手を伸ばした



