甘い体温



『果歩~そろそろ行くぞ』


『あ、うん、ちょっと待って…』


え~っと、着替えって、このくらいあればいっか?


それからあとは…


私は必要な荷物を鞄に詰めながら、入れ忘れているものはないか必死に考えていた


ついに今日は約束の日


12月31日


朝早くから私は珍しく慌てていた


それもそのはず


突然昨日寝る前に「明日からしばらくここには戻って来ないから、適当に荷物まとめとけよ」って言ってくるもんだから


かなり驚いた


もう、急なんだから!


ったく、陽生の奴!


そういうことは早めに言って欲しいよ


ていうか…しばらくっていつまで?


聞いても陽生は、詳しい事は何にも教えてくれないし


な~にが「着いてからのお楽しみ♪」だよ…もう…


急に言われたこっちの身にもなってほしい…


そんなことを思いながら、私は学校の鞄の中にさりげなく隠しておいたものを取り出した


綺麗にラッピングされた箱を手に持ち、旅行用の鞄に、形が崩れないよう、そっとに入れる


結局あれやこれや悩んだあげく、陽生のプレゼントはネクタイとネクタイピンのセットにした


まあ、無難でいいかなと思って…


てゆーか、ネクタイでもあんなにいろんな種類があるだなんて、驚いた


色も柄も何種類もあって、正直迷ったし


幸い後藤も陽生のことは知ってるから、イメージしながら一緒に選んでくれて、かなり助かった


私一人だったら、どうなってたことか…


こんなことなら、最初っから後藤にちゃんと話して、協力してもらえば良かったと思った