甘い体温


『てゆーかさ、何あげていいかわかんない』


私はポツリ呟くと、フゥーッとソファーに深くもたれた


『ん〜、別に気持ちがこもってれば何でもいいんじゃないかな?』


携帯をパタンと閉じると、後藤は私の方に視線を向けた


『何でもって…』


それが分からないから聞いてるのに…


不意に顔をしかめた私を見てヤバイと思ったのか、後藤はフォローするように言葉を続けた


『そーだなぁ?しいて言うなら普段使うものとか?それか、相手の好きなものとか…かな』


『え?』


『私はこの前、彼氏の誕生日にはずっと欲しがってた財布あげたかな』



その時の様子を思い出したのか、ふっと穏やかに微笑んだ後藤


ふ~ん、普段使うものとか好きなものねぇ…



…なるほどね



だけど、好きなものって言われてもなぁ


そういえば、陽生の好きなものってなんだろう?


てゆうかそもそも、陽生の好みのものとか何が好きとか私


何にも知らないんだよね?


だってよく考えると、陽生とはまだ出会って間もないんだから


となると、普段身につけるものとか?


陽生がいつも身につけてるものでしょ?


それか身に着けたりできるもの…



『う〜ん…』



なんだろう?


やっぱり定番でいったらネクタイとか?


けど、そんなの買ったことないからどこで買っていいか分かんないや


そんなことを考えながら、眉間に皺を寄せていたら


隣から、くすっと笑う声が聞こえてきた