甘い体温


『信じてくれた?』


陽生の言葉に、私は免許証を握り締めたまま、コクンと頷いた


『はは、まだ半信半疑って感じだな、まあ、いいや、それより果歩』


突然陽生は私の腰に腕を回すと、私をグイっと引き寄せた



『覚悟しとけ』


『えっ』


『俺が忘れられない誕生日にしてやるから』


『え”っ』


『いろんな意味で、お互い忘れられない日にしような?』



陽生は私の顔に自分の顔を近づけると、意味深な笑みを向けた


『なっ…』


私はそんな陽生を唖然と見つめるしかできなくて…


い、いろんな意味でって…


何する気!?


なんか怖いんですけど……



『なんならもう、パスタ食べにイタリアまで行っちゃう?』


『へっ?』


私の心配をよそに、そんなことをさらっと言ってのける陽生を、少し引き気味に見つめた


『ば、ばか…』


だけど、不思議とさっきまでの不安やモヤモヤはなくなっていて


生まれて初めて自分以外の人と過ごす12月31日に心なしか


少し期待している自分がいた