甘い体温


『はるき……』


私の手を温かく包む陽生の手を、私は強く握り返した


それに答えるように陽生もまた、強く私の手を握り返してくれる



『…それにもう一つ』



私の手をしっかりと握り締めたままの陽生が、ポツリと口を開いた



『この日は俺にとっても特別な日だから』


『え?』


『男も、好きな女には自分の誕生日を祝ってもらいたいと思うもんだから…』


『えっ?』


『だから…果歩と一緒に過ごしたい』



えっ?


『てか…果歩に傍にいて欲しい』


そう言って、フッと表情を崩した陽生


『…え、えっ?…ちょっと待って、それって…』


陽生の言葉に、思わず私は目を見開く


『これってもう正直運命感じちゃうよな』


『!?』


『つーかもうベタだけど生まれた日が同じって…運命共同体なんじゃないの?俺達?』



そう言うと、陽生は満足そうにニヤッと笑った


う、うそ


陽生と私が同じ誕生日って…



『ほ、本当に!?』


『は?嘘言ってどうするんだよ…』


『だ、だって…』


そんな都合のいい話が…


『ったく、しょうがないな~…ほらっ』


陽生は財布から免許証を取り出すと、私に手渡した


………。


本当だ


こんなことって


本当にこんなことってあるんだ…