甘い体温


『いい…』


『ん?』


『わざわざ31日に食べに行かなくなんていい…』


私はあからさまに顔を曇らせると、陽生から視線を逸らした



この日はやだ…


この日はいつも私を苦しめる


何で私なんか生まれて来たんだろうって…


この日が来るたびに何度死のうと思ったか、分からない


だからやだ…この日だけは絶対にイヤ…


私は陽生の腕を、無意識にぎゅっと握り締めていた



『…果歩?』


『違う日がいい』


『え?』


『この日だけはやだ』


『は?果歩?』


『どうしても嫌なの!』



私は少し声を荒上げると、首を振った


別に私の誕生日なんか、祝ってくれなくていい


私にはそんなもの必要ない



『果歩』



すると、そんな私の態度に見かねた陽生が、突然私の名前を強く呼んだ



『果歩、ちょっとこっち向け』