『ごめんな…』


『え?』


『昨日は連絡もしないで…』



陽生は申し訳なさそうに私の頭をそっと撫でる



『なんていうか、昨日に限って、全然患者が途切れなくてさ…まあ、土曜日ってのもあったから余計になんだけど…』


『……』


『ずっと一人で待たせて悪かった』



そう言うと、陽生は私の頭を引き寄せ抱きすくめる



『不安にさせたよな…ごめん…』



その言葉と共に陽生の腕の力が強くなる



『…はるき…』



抱きすくまれた私は陽生の胸元をぎゅっと握り締めた


陽生の規則正しい鼓動が耳から私の心に響いてくる


そんな鼓動を聞きながら私はとても心地いい気分になった





『…パスタ食べたい』


『え?』


私は顔を胸に預けたまま、ポツリ呟いた



『めちゃめちゃ美味しいパスタが食べたい』


『は?え、パスタ?』



突然の私の言葉に陽生は不思議そうに私の顔を覗きこむ


『テレビとかで紹介されてるパスタなんかより比べ物にならないぐらいの超美味しいカルボナーラが食べたい』


私は不思議そうな陽生の顔を真っ直ぐ見つめ返した


『それ、食べさせてくれるなら昨日の事はチャラにしてあげる』