それからしばらくして私は再びベッドルームに向かい、陽生傍に歩み寄った


陽生は私の気配に気づくこと無く、ぐっすりと深い眠りについていて


私はベッドの端まで行き、ベッドの上に腕だけ乗せると陽生の寝顔を覗き込んだ



『相変わらず綺麗な寝顔……』



だけど熱のせいかいつもより苦しそうに顔を歪めていて、息をするのも辛そうに見える


そんな様子を見ながら私はそっと陽生のおでこに手を当てた


やっぱり陽生の体温はいつもに増して熱くて、いかに重症なのが目に見えて伝わってくる


『……』


こんなになるまで頑張らなくてもいいのに…


私は額から手を離すと陽生の顔を見つめた


陽生の寝顔を見ていたらどうしてか、意味も分からず切ない気持ちに襲われて


ぎゅっと胸が締め付けられた



『はるき……』



私はポツリ陽生の名前を呟くと、そっと陽生の手を握った


陽生が私の為に仕事を早く終わらせようとしていてくれた事が正直…嬉しい


私のいない所でも、私の事を心配して気にかけていてくれるだと思ったら、嬉しくて何故だか目頭が熱くなる


陽生の目に見えない優しさが私の心を穏やかにしてくれる



『ごめん……』



疑ったりして


もう帰って来ないかもなんて信じられなくてごめん


そんな風に少しでもうたがったりした自分がすごく陽生に対して申し訳なく思えてしまう


『ありがと…』


そして私はもう一度そうポツリ呟くと、陽生の手をぎゅっと強く握り締めた