甘い体温


『べ、別に私はそんなつもりじゃ……』


ビックリして目を見開く私にお姉さんは意味深な笑みを返した


『呆れた…、あなた全然気づいてないのね

ま、今は気づいてないみたいだけど、きっと時間の問題ね』


お姉さんは全てお見通しとでも言うように言うと、ミネラルウォーターを一口飲んだ



私が、陽生に…?



確かに二人の仲良さそうなところを見た時、胸が苦しくなってもやっとした変な気持ちになったけれど…



そういうのを嫉妬っていうの??



『ま、男と女なんてその時がくれば自然とお互いを求め合わずにはいられなくなるわよ』


『え?…求め合う?』


『そう、まるで磁石のように引き寄せられるの
もっと触れたい、もっと感じたいってね…』



…磁石のように?



『所詮人間なんていくら自分が否定しても無意識に愛を求めてしまう生き物なのよ』


『えっ愛?』


『そ、愛で傷ついた人は愛によって救われるってね
フフ、まあ、あなたにも近い未来に分かる時がくるんじゃないかしら』



困惑の表情を浮かべる私にお姉さんは余裕の大人顔を私に見せた



『ま、何か困ったことがあったらいつでも言って、相談にのるわよ』


「はい、これ」とお姉さんは私にケータイの番号が書かれた名刺を私に手渡した


『まあ、陽生がついてるなら心配はいらないと思うけど、女同士の方が話しやすいこともあると思うしね』


『……』


『それから、私のことは静香でいいわよ、なんならしーちゃんでもいいし、気軽に呼んでくれて構わないから』


そう言うと無邪気な顔して笑った


そして最後に「じゃあ陽生の事は任せたわよ」と言い残してお姉さん、いや静香さんは格好良く帰って行った



『……』



静香さんがいなくなった後、部屋には甘すぎずさっぱりとした大人の香がかすかに漂っていて


そんな静香さんの香を感じながら私は複雑な思いを胸に秘め、名刺を強く握りしめていた