甘い体温


『陽生……』


陽生の私を見つめてくる瞳があまりに寂しげで弱々しいものだったから、私はそこから動けなくなってしまった


私の手を掴む陽生の手がさっきより一層熱を帯びているのに気づき、少し驚いた


すると、そんなことをしている私達の後ろから不意にため息が聞えてきて…


『はぁ…陽生あんたね~、別に私は連れ去って取って食おうとしてる訳じゃないんだから、心配しなくても薬渡したらすぐにあんたに返すわよ』


「なにバカの事言ってんのよ」と言いながらドアのところに腕組みをしながら呆れ顔で陽生を見ていた


『…うっせーよ……』


そんなお姉さんに陽生はポツリ呟くと、名残おしそうに私の手をそっと離した


さすがの陽生もお姉さんの前ではいつもよりかなり聞き訳がよくて、素直な様子


『早く帰って来いよ』


部屋から出て行こうとする私に呟いた陽生に、私は苦笑いを返した





『ったく…しょうがないわね』


部屋を出る無りお姉さんはため息混じりにまた呟いた


『あなたもあんなバカに捕まって大変ね』


そう言うと、冷蔵庫からミネラルウォーターを二本取り出した


そんなお姉さんに私は何も言う事が出来ず微妙な表情を向ける



『陽生からあなたのことは聞いてるわよ』


『え?』



カバンから取り出した風邪薬とミネラルウォーターを私に差し出しながらお姉さんは話しかけてくる



『確か果歩ちゃんでよかったわよね』


『え、はい……』



急に二人っきりになったせいか、私は差し出された薬とミネラルウォーターをなかなか受け取ることが出来きずに戸惑っていてた


元々人見知りが激しい私はこういう雰囲気はなんか苦手