甘い体温



『ねえ陽生、本当にそろそろ仕事行かないとまずいんじゃないの?』


さっきから一向に私の傍から離れない陽生に、私は呆れ顔を向ける



『うん、分かってる』



そういいながらも、私の肩を抱き寄せたまま、一向に離れる気配が無い



さっきからこの繰り返し



本当に分かってんのか?この男は…



『ん〜なんか離れがたくて……』


『は?』


『このまま離れるのがなんかもったいない』



ポツリと切なそうに呟くと、私の頭に自分の頭をくっつけた陽生



もったいないって



『いい歳した大人が何言ってんのよ!』



私は思わずそんな陽生から体を離す



『お前も一緒に病院行くか?』



そう言うと陽生は私の顔を微妙な笑みを浮かべながら覗き込んでくる


冗談で言ってるのか、本気で言ってるのか、なんともいえない表情に、思わず私の口からため息が出た



『あのね〜、私まで一緒に着いてってどうすんのよ…』



私はため息混じりに陽生を見る



『ん?俺が疲れたら隣で笑いかけて、それがダメなら手、握って♪』



そう嬉しそうに言うと、陽生は再び私の腰に腕を回すとグイッと引き寄せようとする


そんな陽生に私はもう肩の力を落とした



『あっそ、そんなに私と一緒にいたいなら別に着いてってもいいけどさ、でもそのかわり

あんたのこと、来る患者さんみんなに、女子高生に手を出す「ヘンタイドクター」って言いふらしてやるから』



あんたの本性みんなにばらしてやるから



私は嫌味っぽく言葉を向けると、フンっと意地悪く陽生を見つめた



…だけど……



『ふ〜ん…あっそ、それじゃあ俺が無職になったら果歩が俺のこと食べさせてね』



そう言って、負けじと陽生もまた私に悪戯に笑顔を向けてくる



あ〜もう!



『あんたが無職になろうがそんなの私の知ったことじゃないし

あんたなんかその辺で勝手に野垂れ死ねば』



だ〜れがあんたの面倒なんかみるか!


私は素っ気なく言い放つと、陽生に背を向けた