甘い体温



『そーいや、お前名前は?』


そんな私に男は懲りずにまた笑顔で詰め寄ってくる



『何が?』


『名前…まだ聞いてなかったから』


『聞いてどーすんの?』


『はは、別にどーもしないけどさ、ほら、でも
名前も知らない奴とご飯食べるのって、なんか寂しくねぇ?』



そう言うと、私の手を自分の手に絡ませ、にっこり笑いかけてくる



………。



なんか、この男絡みづらい……


やたら笑顔を振りまいてくるし


私は少し呆れ気味にため息を吐くと、男の顔をあえて見ずに答えた



『…三月…』



どーせ、一晩限りの相手なんだから、名前なんか聞いてもしょうがないのに…


『ふ~ん、みつきちゃんか、可愛い名前♪』


『どーも…』




どーせこれも誰にでも言ってるんでしょ


やっぱ軽い男…


また、私の口から溜息が零れそうになったその時



『ところでさ、俺の名前聞かないの?』



一瞬、沈黙になったと思ったら、再び男が言った