甘い体温


『自分はどうなるんだろうじゃなくて、この先どうなりたいかを考えろ』


真剣な面持ちで真っ直ぐ私を見つめる陽生


『一度っきりの人生だ、どうせ考えるなら楽しいことを考えろ

もっと自分が幸せになる事だけ考えてろ』


『…はるき?』


あまりの力強い声に思わず私は息を呑む



『もう十分苦しんだんだろ?いっぱい泣いてきたんだろ?
だったら今度は思いっきり楽しむ番だ。幸せになる番だよ』



そう言って、陽生は突然私の体をグイっと持ち上げた



『…え?ちょっと…』



目を見開いて驚く私をよそに、陽生は私の体を持ち上げると、私を自分の膝の上に乗せた


『…ちょ、は、はるき!?』


ま、またこの体勢??


ビックリして思わず声を荒上げる私に、陽生はそれを遮るように口を開いた



『もっと欲張りになっていいんだよ果歩』


『えっ?』


『もっといろんなものを望めよ、怖がってないで自分からいろんなものを求めろよ』


陽生は私の頬にそっと手を当てる


『貪欲に何かを求める事は悪い事じゃない
お前が心から本当に求めればきっとそれは形となって手に入るから

お前の気持ち次第でいくらでも人生なんて変えられるんだよ』



……自分から求めれば?



『少し時間はかかっても、必ずお前の為になるから……
そこからお前の未来がきっと見えてくるはずだから…』


『はるき……』



陽生の言葉が私の体の中にストレート染み込んでいく


体の奥底から熱いものがこみ上げて、ドクンと鼓動が高鳴った