甘い体温


えっ?


その感触にビックリして陽生の方を見たら


『焦らなくていいから、果歩のペースでゆっくりでいいよ』


やっぱり全てお見通しと言うような顔した陽生が私の顔を見つめていた


そして自分の手と私の手をさりげなくギュッと絡ませた


『…はる…?』


『手、果歩が話し終えるまでずっとこうしてるから、もっとリラックスして、安心して思ったことを話せばいいよ』


「大丈夫だよ」と、陽生は私に優しい眼差しを向ける


『……』


その瞬間本当に魔法にでもかけられたんじゃないかと思うぐらい体の力がスッと抜けて、心が穏やかになったきがした


なんていうか、この陽生の独特の甘くて穏やかな雰囲気がそうさせるのか


私はそんな陽生の手を握りながら小さく深呼吸すると、覚悟を決め、ゆっくり口を開いた



『…あのね』


『うん』


『私…自分が今、なんの為に生きてるのか、その…分からなくて…』



片言の外国人みたいに私はぎこちなく話し始めた


さすがに陽生の顔は見れなくて、私は少し俯いて絡まりあった私と陽生の手を見つめてた


『親にも見放されて、誰にも必要とされなくて、ずっと一人で……
何一ついいことなんか無くて、何をしてても楽しくなくて、ずっと苦しくて…

何でこんな辛い思いまでして私は生きてかなきゃいけないのかって、ずっと分からなくて…』


本当に何の為に私が今ここにいるのか分からない


自分から出る言葉と共に、徐々に私の思いがあふれ出てくる


そして私は今抱えてる自分の不安や、寂しさ、やり切れなさなどの矛盾を陽生に話した


時々言葉に詰まりながらも陽生は何も言わず、ずっと黙って私の話を聞いてくれていて


私が思わず手にギュッと力を入るたび、それに応えるように私の手を握り返してくれた


息詰まるたびに、陽生はそっと私の背中を撫でてくれて


そのおかげなのか、私はたどたどしくなりながらも、何とか自分の気持ちを、思いを、素直に言葉にすることができきた