甘い体温


するとそんな私の頭を優しくあやす様に撫で始めた陽生の手


その手の感触が心地よくて、思わず私はそっと目を閉じた



一人で抱え込むより…か



陽生の言葉が私の頭の中でリピートして、私の心を揺れ動かす


正直、心の中を知られたくないと思う半分、本当は心のどこかで誰かに聞いて貰いたいと思ってるのかもしれない


それ以前にこうやってちゃんと向き合って話を聞いてくれる人なんて、私にはいなかったから


母親にはいつも私の気持ちは拒否されてきた


受け止めてもらったことなんて一度も無い


だからいつの間にか諦めてた


そういうのは言ってはいけないものなんだと、心のどっかで勝手に解釈してた


でも、それは違うの?


陽生の言う通り、今のこのモヤモヤしたやり切れない気持ちを誰かに話せば少しは楽になるの?


何かが変わるのだろうか?


でも、自分でもうまく気持ちの整理ができてないのに、何をどうやって話せばいいのか正直分からない


だけど、陽生ならそんなこと気にせずに聞いてくれるの…かな?



…陽生なら……



何故だかそんな思いに駆られた私は、閉じてた目をそっと開いた


今ならなんか話せそうな気がする…




『…えっと、あの……』


いざ口を開こうとしても案の定、口がまごついて次の言葉が出てこない


それに何故だか変な緊張に襲われて、無意識に手に力が入る始末



『あの…だから…』



あ〜…こう言う時どうすれば……





『果歩』



するとその時、不意に掴まれた私の手