甘い体温



『え?』



その声にまた私は陽生の方へ振り返った



『何って…』


『何か思いつめた顔してる』



陽生は私の顔を見つめながら穏やかな笑顔を向ける



目を優しく細めながらじっと私を見据える陽生



だけど、じっと私を見つめる陽生の瞳は私の心の中を全て見透かしてるとでも言いたげなそんな瞳で…


私はそんな陽生の瞳に思わず言葉を詰まらせた




この瞳


陽生と初めて会った時もこの瞳に見つめられて、私は動けなくなった


怖いと思った


正直今もこの瞳は苦手だ


だって、この瞳の前では嘘や偽りは驚くほど簡単に見透かされてしまう…から


この瞳の前では自分を誤魔化すことなんて通用しないきがして…


それでも…




『…別に』


無駄だと分かっていても、私は咄嗟に陽生から視線を外し、口を閉ざしてしまう


陽生には今まで散々私の失態を見られてるけど


それでもやっぱり自分の弱いところはあんまり見せたくないし、見られたくない


他人に自分のドロドロした心の中を知られたくない


そんなことを思いながら落ち着かないでいたら


突然隣で、フッと笑う気配を感じた