甘い体温



見上げたそこには少しダルそうな陽生が立っていて


私の傍まで来ると隣に腰を下ろした



『こんな所に座って何してんの?』



今起きたのか、少し眠そうな目をしながら私の顔を覗きこんでくる



『陽生こそ、こんな時間にどうしたの?』



問いかけてくる陽生に逆に問い返す



『ん、俺?起きたら果歩がいなくなってから心配して探しに来た』



探しに来たって


子供じゃないんだから…



『果歩は?』



『別に…ただ何となく目が覚めちゃったからここでぼーとしてただけ』


『そっか…つーか、あんま勝手にいなくなるなよ、俺寂しいじゃん』


『…勝手にって…』


『なあ、それちょっとちょうだい』



そう言うと突然陽生は私の持ってるミネラルウォータを指差した



『え、これ?』


『うん、それ』


『なんで?』


『喉渇いたから』


『だったら冷蔵庫にまだいっぱい入ってたけど?』


『わざわざそこまで取りに行くの面倒くさい』


『は?』


そう言うと私に笑顔を向ける陽生


『……』


たくっ…しょうがないな…


面倒に思いながらも私は陽生にペットボトルを手渡した


陽生がペットボトルを受け取るのを確認すると、再び私は窓の方に顔を向けた


外から見える夜景は相変わらず綺麗で吸い込まれそうになる


いっそのこと本当に吸い込まれてもいいかなと、本気でそんなことが頭を過ぎる


そしたらこんなまどろっこしい世界からも、自分からも開放されるのだろうか?


そんなことをふと考えていたら



『何考えてんの?』