甘い体温


そんな自分を洗い流すように、冷たい水を顔にかけると私は洗面所を後にした



――ガチャ


私はその足でキッチンに向かい、喉の渇きを潤したくて部屋の備えつけの冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した


冷蔵庫の中には基本的、お茶やジュース、お酒からワインまで何でも飲み物がそろっていて不自由をしない


毎日無くなったらホテルの従業員が補充してくれるから至れり尽くせりだ


私はペットボトルを持ったままやたらただっ広いリビングに行くと、あえてソファーには座らず


後ろに回り、ソファーの背にもたれると、じゅうたんのひいてある床に直接座り込んだ


このリビングは角部屋で壁の変わりに全体がガラス張りになっているから、外の景色がよく見える


ソファーの向きはテレビの方に向いてるから、夜景の見えるガラスとは逆方向になってしまう


だから私はあえて私はソファーには座らない


このガラス張りから見える夜景が好きだから


私がこの部屋で唯一好きなお気に入りの場所


この壮大な夜景を見ていると、心が癒される


スッと落ち着ける


私はミネラルウォーターの水をゴクゴク飲むとまた蓋をして、ボトルを目の上に当てた



『気持ちいい……』



目の周りが異様に熱をもっているせいか、ペットボトルが冷えていて丁度いい気持ちよさだった


私の目、いつからこんなに涙腺が弱くなったんだろう…


本当に情けない


強く生きてくって決めたのに


あの日


あんなに強く心に誓ったのに……