甘い体温


…だけど……


本当に欲しいものほど、簡単には手に入らないものなんだと


この歳になって改めて気づかされた


今まで何にもしなくても、自分が望まなくても気づくと必要なもんは全部揃ってた


というか与えられてきたと言ったほうが正しいか


住む所も、金も、女も


唯一俺から望んで手にしたのは、今の俺の仕事ぐらいなもので


本当…そんな自分で自分の人生が逆に惨めに思えてならない


果歩を見てると、余計そんな気持ちに襲われる


生き方は不器用だけれど、一人で必死になって生きようとしてる彼女


自分の意思に真っ直ぐで、誰にも媚びることも、偽ることもしない


そんな彼女だから俺は引かれるのかもしれない


欲しくてたまらなくなるのかもしれない


彼女のあの真っ直ぐな瞳に俺を焼き付けてしまいたい


俺以外の男なんて見れないように


果歩を他の男なんかに触れさせたくない


俺の全てを果歩に刻ざみ込んでしまいたい


だけど…本気の恋愛なんてしたことのない俺


正直戸惑う事が多い


さっきも泣かせちまったみたいだし


それに同意のうえだとはいえ俺と果歩は会ったその日に体の関係を結んだ


俺からしむけておいて、今更なんだけど


だけどやっぱり順序が違う


好きな女なら尚更だ


今までの女と同じ扱いはしたくない


大事にしたい