そんな私の様子を見て
『はは…可愛いな…大丈夫だって、俺についてれば心配ないから』
そう言うと満面の笑みを浮かべる男
『……』
だからその笑顔がうさんくさいんだけど…?
思わず顔をしかめそうになったら
『ほら、中入るぞ』
『えっちょ…!』
男は私の手を掴むと少し強引にホテルの中へと足を進めた
『いらっしゃいませ椎名様
お待ちしておりました』
中に入ると一人
ホテルの従業員らしき人が近づいてきて私達を出迎えた
年は40代半ばぐらいの渋めのおじさん
『ああ、急ですいません』
男は軽くおじさんに挨拶を交わしていて
『いえ、とんでもございません
本日はうちの当ホテルをご利用いただきまことにありがとうございます
椎名様に頼まれましたお部屋ご用意させていただきましたので
すぐに案内させて頂きます』
おじさんは男に丁寧にお辞儀をすると、私の方も見て微笑んだ



