驚いた私は思わず目を見開く


『ちょっ、なにするのよ!』


私はたまらず顔を上げる


だけど、陽生の顔が予想以上に間近にあって、言葉を詰まらせてしまう


陽生はそんな私を壁に押さえつけたまま、無言のまま私を見つめてくる



『な、なによ!何か文句でもあるの!?
別に私は本当のことを言っただけでしょ?』



陽生を睨みつけながら苛立ちが増す


それなのに


陽生の鋭い視線に耐え切れず、私は苛立ちながらもまた顔を背けてしまった



『果歩…』



陽生が低い声で私を呼ぶ


指先で顎を持ち上げられて、私はまた強引に上に向けさせられた



ドクンッ



再び陽生と視線が交じり合って、心臓が大きく疼く



『ちゃんと俺の顔見て…』


『え…』



そんな私を追い込むように、陽生のもう片方の手がそっと私の頬に触れる


『…っ……』


触れた瞬間、ドクンと私の心臓がまた激しく波打つ


陽生の真っ直ぐな瞳に見つめられて、吸い込まれそうな感覚に陥り、金縛りにあったように体が動かなくなる



……陽生?



陽生の突然の行動に戸惑っていると、不意に陽生の顔が近づいてきて…


私は思わず反射的に目をギュッと瞑った


思わず手に力が入る


すると……



フッと陽生の笑う声と共に、突然私のおでこに温かい感触



『えっ…?』



ビックリして目を開けると、私の額から唇を離した陽生が私を見て笑っていた



『機嫌直った?』


『は?』



私と目があうやいなや


さっきまでの鋭い表情とは一変して穏やかな表情の陽生がいて


私は訳が分からず、目をパチクリさせた