甘い体温



なんなの一体…


一人残された私は、ぽつんとその場に立ち尽くす


あれが何度も死のうとした人間の姿なんだろうか?


どう見ても信じられないんだけど…?



ふっ



やっぱりへんな女


なんて思いながらも、あんなふうに嬉しそうに笑う彼女を少し羨ましくも思った


私もいつかあんなふうに心から笑える日がくるんだろうか?


そんなことを思いながら私も図書室を後にした









その日の帰り


久しぶりに買い物がしたくなった私は、一人ウィンドウショッピングをしていた


幸い、空き巣に入られたあの時、通帳と印鑑は自分で持ち歩いていたから無事だった


と言ってもそんな大金が入ってるわけじゃないんだけどね


正直、そろそろ私も本気でバイトでもしようかと考え始めていて


やっぱり生きてくにはお金が必要で、世の中そんなに甘くないことはもう十分すぎるほど身にしみている


そんなことを考えながらふと、前を見た時だった



『あれ?あの車…』



見慣れた車が前のほうに路駐してあるのに気づいた私は、不意に足を止めた



…あれって確か


陽生の車だよね?



高校生の私でも知ってるほど有名な高級外車


それに陽生の車は少し特徴があったからすぐに分かった


今日はもう仕事終わったのかな?


そう思いながら再び前へ歩きだそうとして



えっ?



少し離れた店から出てくる陽生の姿を見つけて私は思わず息を呑んだ