甘い体温


私は俯いたまま顔が上げられずにいた


私だって


私だって本当はいつも寂しくてしょうがなかった


泣きたくてしょうがなかった


怖くてしょうがなかった


私だってこんな弱い自分消えて無くなりたいって、何度もそう思った


そんな時はたいてい好きでもない男と一緒にいた


誰かといる時は何も考えなくてすんだから


一人でいるよりはずっと気が紛れたから…


結局私はいつも現実から目を逸らして逃げてただけ


私は全然強くなんかない


自分を守るために、強い振りをしてるだけだ



『それでも私にとって三月さんは憧れの存在だから』


『え?』


『私は三月さんのファンだから』



そう言うと彼女は私にとびっきりの笑顔を向けた


その顔は、すごく優しさに満ちていて、眩しいほどきらきらしてた


『……』


私はそんな彼女に、肩の力が抜けるのを感じ、ほんの少しだけ笑みをこぼした



『やっぱ変な女』



私がそう嫌味っぽく呟いたら



『よく言われる』



て嬉しそうに後藤は笑っていた