甘い体温



そんな後藤の問いかけに、私は無意識のうちに眉間に皺を寄せていて


『…だったら何?』


『いや、その悪い意味じゃなくてね、なんていうかずっとかっこいいなって思ってたの』


『は?』



かっこいい??



『なんていうかさ、私と対してそんなに環境変わらないのに、

それなのにいつも一人で凛とかっこよく振舞っててさ、他人になに言われようが自分は自分って感じで、相手にしてなくて、一本筋が通ってるって言うか…

とにかくなんかすごいなって!

私なんていっつも泣いてばかりだったから、三月さんが羨ましかったんだぁ

三月さんみたいに強くなりたいなって…

私にとって三月さんはなんていうか…その私の憧れなの』



そう言うと嬉しそうに笑った後藤


『……』


強い?私が??


私はそんな彼女の言葉を聞いて、思わず顔を曇らせる



『それにこの前、椎名先生と一緒にいる所を見たら、なんか余計親近感が沸いたっていうかさ
三月さんと一度ちゃんと話してみたくなったんだよねって…

あれ?三月さん??』



黙って俯いたままの私に気づき、目の前の後藤は心配そうに私に声をかけた



『だいじょう…』


『強くないから』


『え?』


『私は強くなんかないよ、それにあんたが憧れるようなそんな生き方、私はしてないから』



私は俯きながらそう言葉にすると、不意に唇をかみ締めた


そんな突然の私の態度に、後藤はびっくりした様子で私の顔を覗きこむ



『三月…さん?』