『それともう一つ、もしまた自分で自分を傷つけたくなった時は…
その時は俺に会いにおいでだって』
『えっ』
『その時はそんなこと思えなくなるぐらいに面白い話してあげるからって…
なんか拍子抜けするっていうか、笑っちゃうよね』
言われた時のことを思い出したのか、彼女はクスクスと微笑みだす
『じゃあ予約無しで毎日行くよ!って言ったら
いつでもどうぞ、お菓子用意して待ってるよって椎名先生笑ってた』
『……』
『それと最後にね、
この世の中に必要とされない人間はいないって…
自分が気づいてないだけで、必ず誰か一人は自分のことちゃんと必要として見ててくれる人はいるんだよって、言ってくれたんだ…
それ聞いたとたん、私…嬉しくて思いっきり号泣しちゃってね、もうこれでもかってぐらい泣いたんだ…
それと同時にスゥッと体が軽くなるのを感じて、楽になったんだよね』
本当に嬉しそうに彼女はそう言うと、紅茶を一気に飲み干した
私はというと、そんな彼女をやっぱりただ見つめ返すしか出来なくて…
『…そっか』
何故か、陽生の顔が思い浮かんだ
なんか、陽生らしいかもね…
彼女の話を聞いてたら、少し、私までほっとした気持ちに満たされて
気持ちが軽くなった気がした
必要とされない人間はいない…か
そんなことを頭でリピートしながら、私も紅茶を一口飲んだ
『でも嬉しいなあ、こうして三月さんと話すことができて♪』
『え?』
『私ずっと三月さんのこと気になってたんだよね』
突然彼女はそう言うと、何故か私の手をガシっと握ってくる
『へっ?』
そんな後藤に思わず体が強張る私
え…何!?



