甘い体温



…カウンセリング?


『え、カウンセリングって何?あんたどっか体調でも悪いの??』


カウンセリングと聞いてもいまいちなんのことなのか分からない私は、どこか重い病気でもしてるのかとた尋ねた


『あー…えーっとね、体のほうの病気じゃなくて、心のほうの病気ね』


『…心?』


彼女は私の問いかけに少し気まずそうに頷く


『ほら、椎名先生の病院って一般の内科もやってるけど、心療内科もやってるじゃない』


心療内科?何それ?そんなのやってたっけ??


『いや、知らない…』


私は首を傾ける


そんな私の答えに苦笑いを浮かべつつも、「う〜ん」と少し考えるように彼女はいろいろ説明してくれた


彼女の話だとようするに、一般の病気の診察はもちろんのことで


その他にも心理カウンセリングって言って


何らかのかたちで精神的に心の悩みを抱えた人達の不安や、話を親身になって聞いてくれたり、和らげたり、この先どうしたらいいか一緒に考えてくれたりするんだって



いわゆる心のケアーてやつ?



『ふ〜ん、そうなんだ』



そんなこともやってたんだ…


全然知らなかった



『ほら、椎名先生って人の話とか聞くの上手いでしょ?
それにあの独特な甘い雰囲気に癒されるっていうかさ』



う〜ん、癒されるかどうかは別として、確かに人の話を聞くのは旨いかもね


なんていうかその人自身ををちゃんと見て、聞いて、それに答えてくれるところとか?


唯一そこは素直に私も認めることができるところだから


そんなことを考えていたら、不意に彼女の声が低く真剣みを帯び始めたのに気づく



『私ね、何度も死のうとしたんだ』


『えっ?』