甘い体温


えっ、何??


振り返るとスーツ男は私の手を掴んだまま真っ直ぐ私を見つめていて


その表情ががあまりに真剣で、あまりに綺麗な瞳だったから思わず私は息を呑んだ



『……』



なぜか私は男から顔を逸らす事も出来ず、動くことも出来なくて


男もまた私を見つめたまま顔を逸らそうとはしない


ほんの数秒の間だったと思うけど


とても長く感じた





『…なに?』


ようやく口が動かせた私は男にそっけなく言葉を向けた



『あ…ああ、腕』


『うで?』


『腕…少し痣になってる…』



男は我に返った様子で口を開くと私の腕を指さした