甘い体温


そこには


「寄り道せずに真っ直ぐ帰って来いよ

くれぐれも変な人に声かけられても付いて行かないように!」


と淡々な文章が付け加えられていた



『……』


それを見た私は顔を歪ませる


はぁ?


何よこれ…


私をいったい何だと思ってるのよ、この男は!


ったく…この暇人め!



…でも……



なんだろう



フッ…



そう呆れながらも、私の顔には無意識にまた笑みがこぼれていた



『ばか…』



そして何故か可笑しくなった


私はブラウンの画像を待ち受けに設定すると、携帯を閉じて今度こそポケットにしまった


それから後ろの壁に頭を付けた私は、なんとなく空を見上げた


冬のひんやりした風が当たって体は寒いはずなのに、何だかとても穏やかで


温かくて、気持ちよくて、久しぶりにいい気分だった


私はそこからしばらく動けずに、何を考える事でも無くずっと空を眺めていた











『よし、帰ろ』


気づけば時刻は夕方で


帰りのホームルームを終えた私は帰ろうと、教室を出て校門の方へ向かった


靴を履き替え、外に出たところで校門の当たりに人だかりが出来ていることに気づき、ふと足を止めた


『ん?何あれ??』


見るとうちの学校の女子数人が、興奮しながら何かを取り囲んでる様子だった


??


不思議に思いながらもその横を通り過ぎようとしたその時だった


人だかりの間から不意に見えた人物にあっと驚く