甘い体温


『ところで三月さん!』


『え?』


『本当に付き合ってないの?』


セミロングの女が私の顔をじっと見つめてくる


『はぁ…だから付き合ってないって!』


さっきからそう言ってるじゃない


しつこいな……


『じゃあどういう関係?』


『えっ?』



…どういうって…



『それは…』



なんだろう?


思わず言葉に詰まる


…私と陽生の関係か……


そんなこと今まで考えた事もなかったな


ただの知り合い?


ていう浅い関係でもないし


かといって別に恋人って訳でもない


まぁ、それに近い事はされてるけどね


ん~でも…しいて例えるなら…


ストーカーとその被害者?みたいな?


一言で言うにはあまりに複雑で難しい関係


私自身分からないや……



『ちょっと知り合いなだけだよ』


だけどわざわざそんなことバカ正直に言う必要はない


私はセミロングの女を見つめて、あえてそう答えた


『え~そうなの?…ふ~んそっかぁ~何だ…』


そんな私を見て諦めたのか、セミロングの女は諦めたように肩を落とした


『う~ん、じゃあやっぱりあの女医さんと付き合ってるのかなぁ』


『えっ』