甘い体温


『あ、あのね…』


私が不思議に見ていると一人の女が口を開いた



『あの…朝一緒に車にいた人って椎名クリニックの椎名先生だよね?』


『え?』


『さっき偶然見ちゃって』



う……



やっぱり見られてたのか…



…最悪



うなだれるようにため息を吐きかけたその時、もう一人の女が続けて口を開いた



『三月さんと椎名先生って付き合ってるの?』




――はっ?




ガタッ!


耳を疑うような言葉に、私は思わず椅子からずり落ちそうになった


だ、誰と誰が付き合ってるって!


『ねえ、どうなの、どうなの?2人って付き合ってるの?』

私の周りを取り囲んでいる女子達が、何故だか興奮して目を輝かしながら答えを待っている


ちょ、ちょっと待ってよ!


私はみんなの喰いつくような視線に戸惑うばかり


『べ、別に付き合ってるとかそんなんじゃないから』


なんで一緒にいただけでそうなるわけ??


あ~もう


こうなるから送ってもらうのやだったんだよ…


さずがの私もみんなの迫力に圧倒されて動揺を隠せない


『え~そうなの?本当に?』


私の返事を聞いたとたん、女子たちは何故だか疑いの眼差しを向けながら何かを言っている


『本当だって……ん?』



だけど…


そんな様子を見ていて私はふと、あることに気がついた



でも、あれ?


待って


そう言えば何で…