甘い体温


『おはよう果歩ちゃん』


『私…寝ちゃってたんだ…』


いつの間に…


気づくともうすでに、車は学校から少し離れた所で停車してあって


見ると、私と同じ制服を着た人達がぞろぞろと登校している光景が目に入った


『ああ。そりゃもう気持ちよさそうにぐっすりと、思わず襲いたくなるぐらいにな』


陽生はそう言うとニヤッと笑いながら私を見る


『……』


はぁ…ったく、この男は…


す~ぐそう言うことを…


私は相変わらず陽生に冷たい視線を送ると、すかさず足元に置いてあった学生カバンを手に持った



『頑張って行ってこいよ』


『…ん…じゃ』



明るく私を送りだす陽生にそっけなく背を向けて、車から降りようとドアに手をかける



『あ、おい、これ忘れてるぞ』


『えっ?』



その声と一緒に私は突然陽生に腕を引っ張られた



「…っ……!」



振り返った瞬間、重なった陽生と私の唇


『!!』


なっ!


驚いた私は慌てて陽生の肩を押し返した


『ちょっ、何するのよ急に!!』


『ん?これ、お約束だろ♪』


陽生はそう言って、悪戯っぽく私に笑顔を向けてくる


『ば、バカ!本当バカ!!何考えてるのよあんたは!!
こんなところ学校の誰かに見られたらどうすんのよ!!』


変な噂が広がるでしょ!?


冗談じゃない!!


私は陽生を思いっきり睨みつけた、だけど…


『ん?別に見られたっていいだろ?むしろ見せびらかしたいんだけど俺的には』


『は?何ばか言って!!最低!!本当変態!!あんたなんかもう……』


『果歩…』



“あんたなんか知らない”私がそう言いかけた瞬間だった


再び陽生の両手が私の頭を固定し、グイっとまた引き寄せられた



『これは男除け』



そう言ってくすっと笑った陽生に、今度はさっきより深く口づけられた