甘い体温


『はぁ…』


何でこうなるかな〜…


私は助手席の窓から外の景色を眺めながらため息を吐いた


あの後、結局私は嫌々陽生に車に乗せられてしまい


今私は陽生の運転する車の中にいる


隣の陽生はと言うと


慣れた手付きで何食わぬ顔をしながらハンドルを握っている


……。


ありえない…



『ん?どうした?気分でも悪い?』


思わず肩の力を落とす私の様子を気にかけながら、陽生は清々しい顔で声をかけてくる


私の体調を気にするよりまず、もっと自分の自己中さを気にしてほしいんだけどね…


『別に…わざわざこんなことしてくれなくても良かったのに…』


私はあえて陽生の方を見ずにそっけなく答えた


『はは、なんだよ、別に遠慮することないだろ?こういう時は素直に甘えとけばいいんだよ』



遠慮した覚えはない


前向きな発想でもいいとこなんですけど?


まぁ、この男には何言っても無駄か……



『本当、いい性格してるよねあんた』


『ん?何か言ったか?』


『別に』



もう何でもいいや


ポツリそう言うと、私はそれ以上あえて何も言うのうをやめた


そして私はさっきから車のスピーカーから流れてる軽快な洋楽の歌に何となく耳をかたむけると、そっと目を閉じた










『果歩着いたぞ』


『ん?』


陽生の声にはっとして我に返った私



ん…


あれ?