甘い体温


『放して欲しけりゃさっさとこの場から消えろ』


『は?…ふざけんな!!』


『だったら、出るとこ出て話そうか?』



さっきの爽やかな雰囲気とはいっぺんし、鋭い表情で冷たく男を捕らえるスーツ男


そしてスーツ男は片手で男を抑えながら、もう一方の手でケータイを持つとおもむろに番号を押し始めた



『て、てめー、どこに電話してやがる!!』


『あ?警察だけど?
こういう事はやっぱプロに任せた方がいいっしょ?』


『なっ!!』



警察と聞いたとたん、みるみるうちに顔が青ざめだす男



『ん?どうした?』


『わ、わーったよ!分かったから…
そんな女、いらねーよ!!だから…通報すんじゃねーよ!!』



はぁ?



なんでこいつにそんな言われ方されなきゃいけないわけ?


てか、警察って聞いただけで何動揺してんのこいつ?


アホらし…ただのへたれじゃん


『あ!ちょ、おい!!』


男の慌てようにスーツ男が一瞬力を弱めた次の瞬間


男はすごい勢いでスーツ男を払いのけ、あっという間に車に乗り込み、逃げるようにこの場から立ち去ってしまった