甘い体温


『ほら、これもちゃんと食べろよ』


『……』


ご飯の中に何気なく卵焼きを一つ入れた陽生が私を見る


『俺の特製ダシ巻き卵だから』


『……』


私はそんな陽生を無視してもくもくと朝ごはんを食べる


テーブルの上には陽生が作った味噌汁や、漬物、焼き魚やら朝食がずらっと並んでいて


何故か私は今、陽生と向かいあい、椅子に座って朝食を食べていた


陽生はそんな私をコーヒー片手にご機嫌な様子で……


……。



はぁ……


食べずらい


てゆうかやりずらい


私は溜息を1つ零すと、まだご飯半分ぐらい残ったままの茶碗をテーブルに置いて、椅子から立ち上がった


『もういいのか?』


そんな私に陽生はすかさず心配そうに声をかけてくる


『あんまりお腹空いてない…』


私はそっけなく呟く


普段から朝食なんてほとんど食べないし


それに朝からあんまり食べる気がしないんだよね


『ったく…朝ちゃんと食わねーと体力つかねーぞ!
ただでさえそんなにがりがりなのに……』


陽生はため息混じりにそう言うと、私を呆れ顔で見つめてくる


けれど私はそんな陽生を気にする事なく、もくもくと食器を片付けるとブラウンのところに歩み寄った


するとそんな私の後ろからすかさず陽生が言葉を向ける



『果歩…』



不意に近づいてくる陽生の気配



『まだ怒ってんの?』